コイツ、俺の嫁候補。

「おい、またお前ら縁のことで何か言ってたろ」

「別に? 仲が良くていいねーって話してただけ」



リーダー格らしき女子が嫌味っぽく言い、さっさと荷物を持って帰ろうとする三人。

そんな彼女達に、那央は不敵な笑みを浮かべてみせる。



「わかってんじゃん」

「は?」

「仲良いんだよ俺達。ただのカレカノじゃねーの」



そう言うと、突然あたしの肩に手を回して強引に抱き寄せる。



「コイツは俺の嫁候補だから」

「なっ……!」



ここでも宣言しやがったー!!

あたしと同じく絶句するギャル達を尻目に、那央は涼しげな顔で言い放つ。



「そのくらい俺にとっては大事なわけ。だから、もうコイツのこと目の敵にするのやめてくれる?」



開いた口が塞がらない、って状態の三人に「そんじゃ」と言うと、那央はあたしの肩を抱いたまま歩き出した。



「ちょ……ちょっと那央!」



階段を下りきったところで、あたしは那央の腕から逃れて抗議する。