お腹も満たされ、「また来てね」と言う凪さんのもとを後にしたあたし達は、駅前の通りをぶらぶらしていた。
服や雑貨を見て、疲れたらカフェで一休み。
これがデートなんだなぁ……。
最初こそ緊張したけど、いつの間にか普通になっていた。
でも、学校じゃない場所に二人でいるのはすごく新鮮で、とにかく楽しくて幸せだ。
「うわ、雨!」
ショッピングセンターを出ると、空は明るいのに突然の大雨。
通り雨っぽいし、待っていれば止みそうだけど……。
「傘買うか。俺のボロボロだからいつか変えようと思ってたんだよな」
「あぁ、たしかにあれはひどかったね……」
どこかで拾ったらしい那央の傘は、骨は折れてるしうまく閉まらないしで、早く買いなよ!と言った覚えがある。
コンビニに入ると、那央は安いけどアレよりは断然マシな黒い傘を買った。
「ほれ、くっつけ」
「ぅひゃ!」
あたしの肩を抱き寄せ、「大事なお姫様が濡れたら困る」と言って微笑む那央。
本当に……アナタはあたしの心臓を壊す気ですか?



