文化祭も無事終わり、試験もまあそこそこの出来で、待ちに待った夏休みに突入した。

去年同様、バイトに勤しむ日々なのだけれど、ここに顔を出すことも忘れない。



「おばあちゃん!」

「おぉ、縁~」



相変わらずのあったかい笑顔で、あたしに両手を広げて迎えてくれるおばあちゃん。

その皺くちゃな腕の中へ飛び込むように近付くと、あたしはさっそく切り出した。



「今日はおばあちゃんにいい報告があるんだよ」

「何だい、テストでいい点でも取ったかい?」



キョトンとするおばあちゃんに、あたしは恥ずかしさではにかみながら首を横に振る。



「……好きな人が出来た。っていうかもう、彼氏、になったんだけど」



“彼氏”なんて単語を口にするのはいまだに慣れない。

たどたどしく言うと、目を丸くしたおばあちゃんに、すぐにぱあっと笑顔が広がった。



「本当かい!? よかったじゃないか縁~! おめでとう」

「あはは、うん、ありがと」



こんなに喜んでもらえると、恥ずかしいけどあたしも嬉しいや。