「ポップコーンいかがですか」



強面に似合わないフリフリエプロンを付け、ネクラが作ったマスコットを片手に棒読みで呼び込みする先輩。

あたしはさっきから笑いを堪えるのに必死だ。

すると、先輩は男子二人組に声をかける。



「お前達、ポップコーンは食わないか」

「えっ!? あ、いや、いいで……」

「食わないのか?」



先輩の眼力と迫力にギョッとした男子は、「た、食べます」と即答。



「……あれじゃカツアゲと一緒じゃねーか」



同じく藤丸先輩を見ていた那央が呟き、あたしはとうとう吹き出した。



「先輩のあの姿はもうコントだもんね」

「あぁ、お前は可愛いけどな。似合ってる」



──ドキッ。

突然そんなこと言うから、ポップコーン落としそうになったじゃない。



「いつか俺んちで裸にそれ身に付けてキッチン立ってくんない?」

「するか変態!!」



速攻でつっこむと、那央はおかしそうに笑う。

あれから二人になる時間なんてなくて、結局何も話せてはいないけど。

少しだけあたし達の間の空気が変わったように思うのは、あたしが完全に恋に落ちたからなのかな。