そんなふうに言われたら、本当に那央があたしのことを想ってくれてるって、信じちゃうけどいいの?

信じても──いいの?



「……あたし、先輩グーで殴ったんだよ? それでも“イイ女”だとか言える?」

「はは、たしかに殴ったのはびっくりしたけど。でも、そういう所も全部含めて縁だろ」



彼は涙を拭っていた手であたしの頬を包み、またあの綺麗な瞳で見つめてきた。

熱くて、甘い眼差しに、捕われる。

胸が高鳴る──。



「俺は、そういうお前が──」

「那央にぃ!?」



那央の言葉に意識を集中させていたその時、少し離れた道の先から那央を呼ぶ声が聞こえてきた。

この声、華ちゃん?



「……ったく、邪魔しやがって」



深く息を吐き出し、眉根を寄せる那央に、あたしは我に返った。

金縛りが解けたみたいに急に動けるようになって、那央の手からバッと顔を背ける。


い、今、何て言おうとしたんだろう……!?

勝手な想像をしちゃって、胸のドキドキが鳴り止まない!!