コイツ、俺の嫁候補。

「え……那央!?」



あたしが呼び止めるのも無視して、那央はずんずん歩いていく。

その背中を追ってテントまで行くと、あたし達に気付いた陸と海はギョッとして、先輩達はぽかんとした。

そんな先輩は、真正面に立つ那央を不思議そうに見る。



「何、かな?」

「あんた、女見る目ねぇな」



いつもより低い声で言い放った那央に、その場の皆が固まる。



「喧嘩っ早くてガサツで女らしくないって? コイツのことよく知りもしないくせに」



後ろにいたあたしを振り返り、彼は眩しいものでも見るかのように目を細める。



「料理は主婦並だし、俺ら家族のことまで気遣ってくれて、小さい子供にも優しく接してやれる。
恥ずかしがり屋ですぐ顔真っ赤にするし、喜怒哀楽を素直に出せて……笑顔がすげぇ可愛い」



那央──…



「縁は、十分魅力的なイイ女だよ」