“片霧家の嫁になるための三箇条”

それが筆で書かれ所々セロテープで補強された紙が、片霧家のひびの入った壁にでかでかと貼られている。その内容は。



その一:極力美味しい料理を作ること

その二:掃除、洗濯は面倒臭がらずにすること

その三:(うるさい)子供達に気に入られ、仲良く遊ぶこと



……だそうだが、そこまではまだいい。

問題は、片霧家の男兄弟の誰かが鉛筆でうっすら付け足した、その四とその五。



その四:キスマークをつけておく(浮気防止のため)

その五:風呂とベッドは一緒(節約と場所がないため)



「って、なんじゃそりゃ!!」



……と、その貼り紙の前であたしが叫ぶことになるのは、高校二年の春のことだった。