「あんなところにいられたら迷惑なの! わかる? 常識で考えて!」
「そんなこと言われても……。キミを探してたら、あそこで見つけたんだもん」

 授業が終わるとすぐ、少女は教室を飛び出した。
 三階の教室から一階まで一気に駆け下り、廊下の窓から外を見渡して少年を見つけ、怒鳴りつけるように声をかけたのだった。

 窓を挟んで二人は向き合っている。
 よく見れば、少年は着物ではなく、桜色のセーターに、下はジーンズという姿だった。

「だからって……。あのね、いくら手品だからってベランダもない三階の窓に人がいたらみんなびっくりするの!」
「手品というのはなんだかよくわからないけど……。僕が力を使うと普通の人間がびっくりするというのはよくわかったよ。ごめんね、もうしない」

 そう言って微笑む少年に、少女は不覚にもときめいてしまった。
 元々少女はあまり男子との付き合いが得意な方ではないのだ。
 つまり、男子に対して免疫がなく、少し優しくされたりすると、ころっとなびいてしまうのだ。

 だが、それでも、片思いの相手と他の男子とは全然違う、と彼女自身は思っている。
 ちょっと笑いかけてもらったくらいでドキドキしてしまった自分が、彼女は悔しかった。