「そんな話あるわけないじゃない。手品か何かなんでしょ? 手がこんでるけど」

 少年は真顔になって、あごに手を当てた。
 少し思案をめぐらせてから、彼女に視線を合わせる。

「キミが信じないならそれでもいいけど。で、僕に口付けしたってことは、恋を叶えたいんだよね? 相手はどんな子?」

 そう訊かれて、少女は少年をにらみつけた。
 こんな怪しげな少年なんかに、自分の片思いの話をするのはなんだかしゃくに障る。

「あんたなんかに話す必要ない。とっとと木を戻して帰って」

 背を向けて去ろうとする少女に、少年は言った。

「そんなこと言われてもなぁ……。願いを叶えないと元には戻れないし。だから教えてよ、キミの恋の相手」

 少年の言葉に耳も貸さず、少女はその場を立ち去っていく。
 残された少年は途方にくれて頭をかいた。