それは、長い…のかな。
私からしたら、短い。
柊ちゃんは、どうなのかな。

「せ…」

「ゆっずー、おっはー!!」
「いってっ!」

二人の声に、下を向いていた私は驚いて顔をあげた。

苦しそうな柚里先輩と、その首に抱きついている女の先輩。

愛先輩、かな。

こないだ、朝見た人と一緒だと、思うんだけど。

「またユズこの子といるしーっ」
「いいだろ別に」

自分の彼氏がほかの女の子といたらそれはやだよね。
いくら柊ちゃんのためと言ったって。
そんな事情、知るわけないだろうし。

…、私、邪魔者じゃん!

「せ、先輩」

ちょっとだけ先輩の制服の裾をひっぱると、こっちに
首を向けてくれた。

「なんだ?」
「今日は、先に行きますね」

「なんで?」

な、なんでって…。
えーと、うーんと。

「ちょっと、あたしのユズにベタベタすんなし」

愛先輩がギロッと私を睨む。
怖すぎる。
早くここから立ち去りたい。

「あたしの、ってなんだしお前」

ケラケラっと明るく笑う柚里先輩。

私にとっては笑ってる場合じゃないんだけど…。

「じゃ、私は…」
私がそう言ったのと、
「!」
柚里先輩がいたずらっ子のような表情をしたのが、同時だった。

「ふぇっ!?」

はや歩きを開始した私を柚里先輩の腕が捕まえた。
ぐいっと引き寄せられ、気づけば私は先輩の胸の中に。

「愛のじゃねーよ。俺たち付き合ってんだからな」

「!?」
「はっっ?!」
「「「えぇぇえっ?!」」」
!?!?!?!?!?!?!?!?
なにいってるの先輩!?!?

「へ、は…え、え、」

なんか今の私、絶対金魚みたい!

「ど、どういうことなのユズ!?」
「どーもこーねぇよ?」
私たちの周りの人まで足を止めて、状況を見ている。