HRの時間も近付き、クラスの大半の生徒達が教室に揃っていた。









「ねぇ、貴女名前なんて言うの?」

「……えっ?」








小説を読んでいた柚姫は、まさか自分が声をかけられているとは思わず、反応が遅れてしまったのであった。









「私、西條穂波っていうの。こっちは雨宮花菜。あ、学校では雨宮で通してるんだけど、実は結婚してて、西條花菜が本当の名前なのよね」

「うん」

「雨宮って、もしかして律先輩の妹さん?」

「そうだけど…りっくんのこと知っているの?」

「えぇ。私は一ノ瀬柚姫と言います。律先輩にはお茶の稽古をしてもらったことがあるの」

「あ…もしかして、一ノ瀬流の…」

「えぇ。一ノ瀬流家元の一人娘です」

「そうなんだ!」

「世間って狭いのね…。私と花菜は義理の姉妹だし、柚姫は律先輩と繋がりがあっただなんてね~。あ、私のことは穂波って呼んでね!」

「えっ?」

「私のことも花菜で良いよ」

「…良いの?」

「「勿論!」」

「っ…ありがとう、穂波ちゃん、花菜ちゃん」








柚姫は本当に嬉しそうに2人に微笑んだ。
入学して以来、初めて友達と呼べる存在が出来た瞬間であった。