俺は、昔から雨宮流次期家元というブランドでしか、見られたことがなく、俺自身を雨宮律ただ一人の人間として、男として見てくれているのはごく限られた人間しかいないんだ。





俺だって一人の人間なのに…。









雨宮流次期家元。






その文字が何処へ行っても俺のことを縛り付けてくる。




俺のことを誰も知らない何処か遠くの場所へと逃げたくなることもあった。








女達は、雨宮流次期家元というブランドに惹かれて近づいてくる。
それがいかに信用ならないか、俺自身身を持って体験している。