「声大きいよ、結月!」


 結月の声を聞いて、ジロジロと周りから視線が集まる。



 口元に人差し指をおいて、私は「静かに!」と表した。




 私の前の席…結月の席に、結月は腰を下ろして今度はトーンを下げて聞いてきた。



「茜、矢崎くんのこと…好きだったの?」



「…うん。好きだよ。
 だから付き合ってんじゃん。両思いになれて嬉しかったし結月に教えたくて、メールしたの」



「なんで片思いのとき教えてくれなかったのー?」



 口を尖らせて結月が拗ねながら言った。




「なんか…言うタイミングがなくて」


「そっか。
 茜に彼氏かぁ…。いいなぁ。ていうか、ずるい!!」


「結月も告白すればきっと両思いだよ」


「お世辞とかいらないから…」




 お世辞じゃないよ。

 私、本当にそう思ってる。


 ―だから、矢崎と付き合ってるんだよ。



 結月…私が矢崎のこと好きって言ったとき、ホッとしてた。

 やっぱり疑ってたんだ…。



 でも、大丈夫だよ。



 私は、今矢崎の彼女なんだから。安心してね。