茜は俺の言葉を聞くと、その場から離れた。


 どこ行ったんだと思ったら、玄関から飛び出してきた。





「茜…!?」




 茜は涙で真っ赤な瞳で、俺を見つめた。







「うん!」



 今までで一番綺麗で、幸せそうな笑みを俺に向け



 茜は俺に抱きついた。






 花のような香りと、柔らかい髪と、涙でぐしょぐしょの顔。


 細い腕で俺を精一杯抱きしめて、「好き」って気持ちを伝えようとしてる。




 可愛くて愛しくて。そして、ホッとするような温もりを感じる。







「好きだよ、茜」


 耳元で囁くように伝えながら、俺も優しく抱きしめ返した。







 もう二度と放したくない。


 もう二度と放さない。