明日一番に、要に言おう。 『俺から奪われるなよ?』と。 俺は、先ほどまで茜と手を握っていた手のひらを見つめた。 もう昔には戻れない。 関係は下には戻らない。 明日のことはわからない。 だけど――。 明日、要の隣に茜がいたら笑顔で言おう。 『おめでとう』と。 思い出は変わらない。 俺たちのたった一度の青春は、変えることができない宝物。 俺はギュッと拳を握り、窓の外の空を見上げた。 その空は、雲ひとつない鮮やかな青色だった。