「今日の放課後、遥陽と一緒に帰って話してみる。今日部活ないらしいから」



「そっか。…頑張ってね」



「うん。背中押してくれてありがとう」




 何回「ありがとう」って言うのさ。


 あたしのほうが、「ありがとう」なのに。





「結月も、絶対絶対幸せになってね」



「うん!茜より幸せになってやるー」



「えぇ、私よりぃ?」



「へへぇ」



「結月らしいね。あはは」





 透き通った青い空が見守りながら、あたしと茜は久し振りに心の底から笑いあった。


 懐かしさと嬉しさが混じったような感情が、心に流れ込む。





 いつ幸せになれるかな。
 誰と幸せになるのかな。




 頭の隅で、ふとそんなことを考えていた。





 茜の笑顔が眩しく、そんな考え事の答えは浮かばなかった。


 だってそれは、未来のあたししか知らない、まだ訪れていない“一生ものの幸せ”だから――。