茜は少しの間黙り込んでしまった。
…茜?
そして茜は、苦しそうに微笑んだ。
「……もういいんだ、私」
「え…?」
なにが、『もういい』の?
なんで、諦めちゃうの?
「今私が素直に気持ちを話したら、遥陽とくっつけてくれた矢崎に申し訳ないし、遥陽を傷つけたくない」
今にも泣いてしまいそうな声で、どこまでも優しいことを言った茜。
なんでよ…っ。
なんで茜は、いつも自分を犠牲にしてまでそんな…!
「嘘ついて眞田くんと付き合うほうが、よっぽど眞田くんを傷つけるよ!?」
あたしはね、茜が本当に幸せになってくれたらなって思ってるんだよ。願ってるんだよ。
茜が世界一幸せになってくれれば、あたしはそれでいいんだよ?
多分それは、あたしだけじゃない。矢崎くんや眞田くんも、同じ想いなはず。



