もう遅い。



 会ってしまった。





 神様の悪戯のせいだ。

 …屋上を出た自分のせいだ。







 一方的な片思いは、


 今もなお続いている。







 その想いは大きく育ち、今にも弾けそう。


 好きだから会いたくなかった気持ちは、だんだんと薄れていき、



 そして、会いたい気持ちが溢れていく。








「ごめん、遥陽」



 俺やっぱ、新川のこと諦めらんねぇわ。




 奪うとかそんなのはしない。けど、想うことだけは許してくれ。


 …ただ、心から祝福することはできそうにねぇや。






 新川、好きだ。

 新川が遥陽のことを好きでも、たとえ一方的な片思いで高校生活が終わっても、――新川への恋情だけは真っ白に塗りつぶすことはできなかった。