時間が止まったかのような錯覚に堕ちた。 重なった手が熱い。 「ご、ごめっ…」 「いや、別に」 謝んなんなよ。 …別に、何も悪くない。 本当はこっちが謝らなきゃいけないのにさ。 遥陽がいるのに、…お前には遥陽がいるのに。 この気持ち消せなくて、ごめん。 「じゃ、じゃあな」 「あ…」 俺は全て拾い集めたことを確認してから、また歩き出した。 何か言いかけた新川だったが、振り返らずに足を動かした。 だめだ。 これ以上いたら…… 気持ちが溢れてしまう。