「結月と喋ってたけど…今さっき結月が帰ってさ。すれ違わなかった?」 「会わなかった。入れ違いってことか?」 「そうなるね」 …ねぇ、どうして? どうしてそんな…鋭い瞳で私を見るの? やめて…。 怖い。 怖いよ…。 私を、見透かさないで。 ――ちょっと待って。 もし、もしも…私のことを本当にスベテわかっているのだとしたら… 利用できるかもしれない。 人として最低なコトだけど、今は…バレないようにするためだけに…――。 私は、今日 自分の想いを胸にしまい、誰にもわからないよう隠した。