最初から、二人は両思いだったのかよ。


 なんだよ……。



 俺は最初から、入る隙なんてなかったのかよ。





 そう思うと、胸がギュッとなって涙が溢れ出しそうだった。





 本当は言いたかった。


 『渡すかよ』

 『新川は俺の彼女だ』

 『いくら相手が親友でも譲れねぇ』




 新川の腕を引っ張って、抱きしめたかった。


 こいつは俺のもんだと、見せつけたかった。




 独占欲だけがにじみ出て、たとえ遥陽と新川が両思いでも別れたくなかった。





 俺は利用されている立場でも、新川にとって遥陽を忘れるためのただのきっかけだったとしても、俺は新川が好きだから。


 だから、離したくなかった。




 どうしても、そばにいたかった。





 デートしたあの日、公園で新川は俺を抱きしめてくれた。

 それがどんだけ嬉しくて、幸せだったか。…新川はきっと知らないんだろうな。