新川と俺は、夏祭りがあったあの日別れた。



 そもそも俺たちは、普通の恋人関係じゃなかった。



 だけど、日に日に本当の恋人らしくなっていったと思っていた。





 このまま、新川が俺のことを好きになってくれたら。


 このままずっと、俺の彼女でいてくれたら。


 いつか遥陽への気持ちを、忘れてくれたら。




 いつだってそんなことを考えていた。





 初めてこんなに好きになった新川を、簡単に諦めたくない。



 夏祭りのあの日だって、そう思っていた。




 けど偶然、聞いてしまった。

 遥陽の新川への想い――。





 打ち上げられた花火の音が、そのまま俺の心臓に落ちてきて、一瞬頭が真っ白になった。


 遥陽は…新川のことが好き。

 新川は…遥陽のことが好き。





「……なんだよ、それ」