「何してんの、ここに来て」
「雑用」
「雑用?」
忘れ物じゃ…なかったみたい。
一年の時から、よく遥陽とつるんでたから必然的によく視界に入った。
だけど、遥陽を通じて仲良くなる…ってことはなかった。
ただ、いいな…私も遥陽ともっと話したいって羨ましがるだけだった。
私の中での矢崎は…話しやすそうでフレンドリーでいつも笑ってて、思わず本音を言っちゃいそうになる。
「サボろうとしたら顧問に見つかって、雑用頼まれたー」
「自業自得っていうんだよ、それ」
だよな、と頭をかきながら教卓に置いてあった資料を手にする矢崎。
それが、雑用…かな?資料持ってくるだけで、サボった罰が許されるなんて。まだいいほうじゃん。
「…で?新川は何してたん?」
資料から移された目が、あまりにも鋭くて…目を丸くする。
この瞳は、私の“スベテ”を見抜いてるような感じで。
少しだけ、怖さを覚えた。



