――放課後。




「…ねぇ、眞田くんってどんな子が好みかな?」



 いつもの、日課になりつつあるこのお喋り会。




 オレンジ色が、今日はなぜか寂しく感じた。


 部活に励む声も、カラスの鳴き声も、廊下を歩く音も、…私たちの話し声でさえ。


 理由はわからないが、心細かった。





「遥陽の?んー、聞いたことないなぁ」


「そっかぁ。だよね。聞いたことないよね…」



 見るからに落ち込んだ結月に、私は焦ってデマを言う。




「は、遥陽はさぁ、結月みたいなふわふわ~ってしててまさに女子!って子が好きだと思うよ」




 この嘘が、本当ならいいのに。


 そしたら、こんなに胸が痛くなんなかったかもしれないのに。



 友達に嘘をつくのは、正直きつい。




「そうかな?」


「そうだよ!遥陽みたいな爽やか系は、結月みたいな女子と恋に落ちるって少女漫画では定番なんだからね」