遥陽と私の幼馴染という関係は、

 先を歩く遥陽の背中に手を伸ばしても、届きそうで届かない…そんな距離。



 ならいっそ、届かなければいい。ううん、届かないで。


 そして、私に「届かない」って言って?教えて?





 そうすれば、無理にでも諦めて…この想いを消せる気がするから――。






「結月が、遥陽に届けばいい」




 結月が遥陽の背中に手を伸ばしたら、届けばいい。


 そして私は後ろから、作ってでも笑って祝福するよ。




 そのあとは、こっそり姿を消して…隅で泣こうかな。







「うん。頑張れ」



 もう席に着いた結月に、私は遅れて言葉を返した。



 聞こえるはずがないけれど、どうしても言いたかった。





 もしも私の想いを結月に言って、この築いてきた関係が崩れてしまうのなら――私は、言わない。絶対に、言わない。


 恋愛よりも、友情の方が………私には必要だ。




 恋情のせいで友情が壊れることを、私は知っている…。