――夏休み直前の真夏日。




「あっつーい」


 昼休み、屋上でランチはさすがに太陽が当たりすぎて暑いので…今日は中庭の大きな木の下でランチです。


 日陰だし、風が気持ちいいんだ。





「あ、眞田くんから返信きたぁ」



 隣でお弁当を片付けながらスマホを見ているのは、もちろん結月。



 ランチする前に結月、「夏休みどう過ごすか聞いてみようかな」って言ってたなぁ。


 なんて返ってきたんだろう。





「見てみて!茜」


「んー?」



「《部活で忙しいと思うけど、また四人で遊びに行きたいな》…だってさ!!」




 テンション高いな…結月。結月の周りだけ気温上昇してそう。




 Wデート後、結月と遥陽の距離は一気に縮まり、毎日メールしたり休憩時間に話すのは当たり前になっている。


 そんな二人を見るのは微笑ましくて、けれど同時に辛さも心に訪れて。




 矢崎への想いは、日に日に大きくなって言っているけど。

 遥陽への想いは、形も大きさも変えずにまるごとそのまま心に残ったままだ。




 不器用で恋愛初心者な私には、初恋の消し方なんてわからない……。