今日から修学旅行というのに…。



「……なんだよ、お前らその冴えない顔は…」



目的地は沖縄!!


行きの飛行機の中なんて、普通はテンションMAXで盛り上がるはずなのに。


同班の仲間たちのテンションの低さに若干イラつく俺。


ユキはイヤフォンで音楽聴きながら一人の世界。

持田は読書。

透子も読書。

優花ちゃんにいたっては行きから寝てる始末。



「おい、お前ら!!沖縄だぞっ!!この飛行機が降り立ったその時には沖縄の地なんだぞっ!普通はガイドブック見て、これ食べた〜いとか、ここ楽しそ〜とか言って盛り上がんだろっ?!」


みんな完全にシカトして、自分の世界に入ってる…。


「聞けよっ!ユキッ!!シカトしてんじゃねぇよ!」


ユキの肩を揺さぶると、めっちゃユキに睨まれて、若干怯む。


「……は?うっせぇ。大人しく座っとけよ」

「……酷い…」


そう拗ねてみせたけど、ユキは相変わらずイヤフォンで音楽を聴いてる。


あとの三人だって相変わらず……。



「……うー……


……つまんねぇ!!!!」

「うっさいっ!!!!」


発狂したら、次はユキだけじゃなくて周りのクラスメイトから一斉に睨まれた。







「……ちょっと…晴、うるさいんだけど……」


うるさいと睨まれ、拗ねていた俺はいつの間に眠っていた。


ユキの隣に座っていたと思っていたのに、気づけば隣は透子。

隣に座る透子が迷惑そうな顔をして、肩を揺さぶって起こされた。


「……イビキうるさい…。……起きてても、寝ててもうるさいのね」

「……あ、すんません……」


無表情の透子に無表情な言葉を言われ、謝るしかない。


「……ユキ達は?」

「……前の席に移動してトランプしてるみたい」

「……マジかよ、さっきまでみんな自分の世界入ってたくせにー」


透子は相変わらず読書していて、通路を挟んだ四人座席には変わらず優花ちゃんが寝ていた。


「……透子は…?……ユキにとこ行かなくていいのか?……一応彼氏じゃん」


そう言うと、透子は読んでいた本をパタリと閉じて、掛けていた眼鏡を外した。