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父さんと喫茶店で話したあの日から一週間…
優花の様子が変だった。
その前から急に成宮と別れてきたとか言い出すし、急に暗くなって泣き出しそうな顔したりして様子がおかしい。
だけど、俺だって人のこと言えなかった。
優花にも心配されていたし、晴や持田だって「なに、暗い顔してんだよ!とり憑かれんぞ!」って背中を思いっきり叩かれたりしていた。
外ではあまり考えないようにしてんのに、ふと思い出すのはあの日の父さんの顔。
そして……その一方で考えるのは、優花のことだった。
「……ユキ、今日部活ない日だから…家来ない……?」
ある日の放課後、そう声をかけてきたのは透子だった。
「……へ?家?……なんか、珍しいじゃん…。……透子ん家なんて小学生の時以来行ってねぇかも……わっ、ちょっ!透子」
行くか行かないか、まだ返事もしていないのに、透子は「行こ」と言って俺の手を引っ張る。
慌てて机の上の鞄を取ろうと思ったら、今度は隣の席の優花が俺の鞄を引っ張っていたから動けない。
俺の鞄を引っ張る優花の表情は、少しだけ拗ねているような……例えるなら、お菓子を取られた子供みたいな表情をしていた。
「……優花?」
「……栗原さん、何の用?」
俺が疑問に思ったのと同時に、冷たい口調で透子が俺の前に立つ。
優花と透子はなんだか睨み合ってるかのようにも見えた。
……なに?
こいつら、喧嘩でもしてんの……?
「……用があるなら、はっきり言ってくれる?……栗原さんって、いつもそう。……言いたいことはなかなか言わない。誰かに構ってもらえるのを待ってる感じ。可愛い顔してるからって、周りの人から構ってくれるのを、そんな表情して待ってるんでしょ?
………あたしとユキが付き合ってるから、『お兄ちゃん』を取られて、ユキが構ってくれなくて寂しいの?」
「……透子…」
いつも冷静沈着な透子が、そんなこと言い出すなんて透子も変だ。
何が気に食わないのかわからないけど、女同士の喧嘩ってこえぇーって思った。
透子から睨みつけられ、何も言い返さなかった優花は鞄からパッと手を離したかと思うと、急に泣き出しそうな顔をして、教室を飛び出して行った。
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