「ねぇ、そのユキのデビュー作、何か知っていたりする?」


「知ってますよ。本持ってますからね。
【卒業】でしょう?」



 うわ・・・まさかファンに会うなんて。



「私もユキ好きなのー」



 少し棒読み気味だが言ってみる。




「優斗くんはペンネームとかあったりする?
感想とか送らないの?」



「送ってますよ?
舞原神楽というペンネームです」






 まいはら、かぐら?


 舞原神楽!?!?




「ええええぇぇぇぇぇええええ!?」



 狭い静かな喫茶店に、私の絶叫が響き渡る。





「ど、どうしたんですか!そんな大声出して!」



 流石の優斗くんも驚いている。


 驚かない方が可笑しいのかもしれないけど。