「ねぇ水門くん」
「はい?何です?」
「何かあった?」
「何かって何ですか?」
「だって優斗くん、凄い前向きな考え持っているんだもん。
なんか信じられなくて・・・」
「3時前に空港に着いたものですから、携帯電話で好きな小説を読んでいたんです。
その本の主人公は、とても前向きに生きていたんです。
僕もその主人公のように前向きに生きたいな、と思いまして」
「携帯電話で小説?
優斗くん、ケータイ小説読むの?」
「え?あぁ、前に美夏から薦められて読んでます。
読むのは少し遅いんですけどね」
「へぇ・・・」
意外だなぁ。
「誰が好きなの?」
「そうですねぇ・・・。
・・・ユキさんっていう小説家好きですね。
さっき言った前向きな主人公も、ユキさんの小説に出てくる方ですし」
・・・ユキ?
私?
そういえば今、短編を書いている途中で、主人公前向きな人だ。


