2人のユウト





 人のためなら自分を犠牲になんて・・・。


 そこまで私、良い人じゃないのに。



「きっと本人に言ったら否定しますけどね」



 苦笑いを浮かべる水門くん。


 わかってんだ、私否定するってこと。



「今日初めて出会った僕が言うのも変なんですけど。

もう少しだけ、幸菜さんと過ごせる時間を増やしてはいかがですか?
お仕事が忙しいのはわかっています。
でも、彼女は、幸菜さんは小さな出来事でも幸せと感じられる人です。

前に僕は幸菜さんと遊園地に行きました。
その時の幸菜さん、凄く笑顔でした。
僕思ったんですけど。
幸菜さん、昔からこういう所に来たことないのかなって」



 凄いな水門くん。


 【探偵ユマ】みたい。




「・・・そうね。
昔からわたしもお父さんも忙しかったからね。
あんまり幸菜をかまうことはなかったわ。

幸菜は我が儘の言わない大人しい子でね。
家事も自分で何もかも出来るしっかりした子だったから。
つい大丈夫だろうって、甘えていたのね。

水門くん、だっけ?
ありがとう、幸菜の傍にいてくれて。
小さい時から友達のいない幸菜と友達になってくれて。

・・・幸菜を、好きになってくれて」



「僕こそお礼言います。
ありがとうございます」



 ペコンッと礼儀正しく頭を下げた水門くん。



 ・・・ありがとう・・・・。