しかし、女たちは俺が来たから逃げたんじゃない。
水門がいたから。
こいつは、理事長の息子だから。
親子関係は良くないけどな。
最近暑くなってきたのに、こいつは今だ長袖だし。
安心したのか、幸菜は顔も隠さずに泣きだした。
自然に、俺と水門は笑っていた。
しかし水門は、あっけなく行ってしまった。
仲が良いはずの、好きな奴と特に会話もせず。
・・・まるで、幸菜をさけるみたいに。
深く関わらないようにしているみたいに。
俺は幸菜が好きだけど。
きっと幸菜は水門が好きだ。
気が付いていねぇんだな、幸菜。
さっき俺と水門が来た時、幸菜は水門の顔を見ながら、
凄く嬉しそうな顔をしていたんだぞ?


