「・・・よぉ、久しぶり」
俺はぎこちなく挨拶をした。
水門は、というと。
再び俯き、俺を難なくよけ、行こうとする。
「おい」
「・・・なんですか?」
「幸菜知らねぇか?」
「・・・日下さんですか?
知りませんけど・・・。
僕は4組ですから、日下さんと同じ2組の峯長くんの方が知っているんじゃないですか?」
常に弱気の水門からは信じられない言い方だった。
目も、少なからず冷たい。
「そんな言い方ないだろ。
幸菜と仲良いのは俺より水門だろ」
「僕は1度も日下さんを幸菜と呼び捨てにしたことはありません」
「呼び捨てだからって仲良いって方程式は間違っているぞ」
「・・・ともかく、僕は日下さんを知りません。
もう良いですか?行きたいところあるので」


