2人のユウト





「勇都にさ、もう近づかないでくれない?」


「勇都の彼女はアタシなんだよね」



 ・・・って言われてもね。



「近づくなって言われましても、席が隣ですから、近づかないでって無理じゃありませんか?」



 そんなのも思いつかないの?



「ムカつくのね日下さん。
あーいえばこういって。
大人しくアタシたちの言うこと聞きなさいよ」



 何で私が命令されなくちゃいけないのよ。


 あんたたち、別に偉い人じゃないでしょ?



 偉い人じゃない人の言うことを聞くほど、私はMじゃありません。



「なんなのよその目は。
・・・うぜぇんだよっ!」



 逆ギレして、右手を振り上げる女の子。



 あ・・・これマズいな。


 殴られたら、痛いだろうな・・・。








パシッ



 突如、女の子の振り上げた手が止まった。