2人のユウト





「美夏っ・・・。
ごめんね、私の我が儘のせいで」


「ううん。
幸菜は悪くないわ。

ただ、嬉しいの・・・。
お兄ちゃんに会えたことが。

突き放されたのは哀しいけど。
それよりも、会えたことが嬉しいの。

変わっていない、あたしの知るお兄ちゃんに」



 顔を上げた美夏は、スッキリした表情を浮かべていた。



「・・・お嬢様」


 校門に、椎葉さんが立っていた。


「じゃあね幸菜。
またメールするわね?」


「わかった。
美夏、頑張ってね」



「ありがとう、幸菜」



 美夏が私に向かい、笑った。


 この笑顔、前に初めて会った時感じたんだよね。


 水門くんに似ているって。



 それは、当たり前だったんだね。


 だって、血の繋がった、大切な兄妹だから。




「・・・日下幸菜様ですね?」


 ふと、椎葉さんが私に声をかけた。



「そうですけど?」