その時、私の中で、何かが生まれた。
いけないことだって、わかってるわ。
・・・でも。
我が儘だけど。
私は水門くんを追いかけて、捕まえた。
やっぱり、驚いている。
私は虫が出たから、怖かったとテキトーに嘘をついて、水門くんの気を引いた。
そして、会わせたい人がいるんだと言って、水門くんと美夏を、2年ぶりに再会させたのだ。
「どうして・・・」
「幸菜から聞かなかった?お兄ちゃん。
あたし、幸菜の友達なの」
「それは知っているよ・・・。
でも、どうして美夏がここにいるんだ?
父親といるんじゃないのか?」
「お父様とお母様は今いないわ。
椎葉もいないわ。
幸菜と2人きりになりたいからって言ったの。
でもまさか、お兄ちゃんが幸菜と同じ高校なんて」
美夏は走って、お兄ちゃんに抱きついた。
水門くんは、驚いているのか固まったままだ。


