2人のユウト





 話は数分前に戻る。




 図書室から出て行く水門くんを見た私は、暫く固まっていた。


 美夏が、水門くんの妹?


 じゃあ、どうして名字が違うの?


 水門くんは嘘をつく性格じゃない。


 じゃあ、それは事実?


 どうして水門くんは理事長の息子なの?


 どうして美夏が舞原財閥の次期社長なの?





 浮かぶのは、疑問ばかり。



ブーブーブー



 ポケットから聞こえた、携帯電話のマナーモード。


【舞原美夏】


 美夏?


 どうしたんだろう。



【今、お兄ちゃんにメールしました。
 でも、返事は帰ってこないかも。
 少し、辛いかな。
 だから、いきなりメールしちゃった。
 ごめんね。
 こんなこと言えるの、幸菜だけで。

 今、幸菜の高校の近くにいるの。
 会えないかな?
 無理そうなら良いんだけど】