2人のユウト






 は?虫?


「さっき図書室に虫がいてね、怖かったの!
私、虫嫌いだもーん・・・」



 あ、それでこういう状況なのね。


 納得だわ。



「面白いですね・・・。
大丈夫ですか?」



「うん、大丈夫。
あのね、ちょっと来てほしいの」


「え?」



 僕から離れた日下さんは、僕の手をひっぱり、歩き出す。



「どこに行くんですか?」


「内緒ー」



 内緒って・・・。


 日下さん、精神年齢、いくつですか?



「水門くんに会わせたい人がいるの。
その人ね、今近くにいるから。

水門くん。
私の我が儘、許してくれるかな?」




「別に良いですけど・・・」





 この時、僕は普通にオッケーした。


 後悔することも知らずに。