出版社に入り、お客様が来た時に案内する個室に向かう。
「失礼いたします」
丁寧に灯さんが言い、部屋に入っていくので、その後に続く。
「ユキをお連れいたしました」
「は、初めましてユキです!
こ、この度はありがとうございます!
す、凄く嬉しいです!」
美夏さんの顔も見ていないのに、話しまくる私の口。
あんたは蛇口か!
と、1人でツッコミ。
恥ずかしい・・・。
「こちらこそ忙しい所来ていただいてありがとうございます。
舞原美夏と申します。
こちらは執事の椎葉(しいば)」
優しい声がして、顔をあげる。
目の前には、可愛い女の子が立っていた。
丁寧に巻かれている茶色い肩より下の髪。
つけ睫毛らしきものがついた二重の瞳。
化粧がされた頬。
美少女と言うのに相応しい子だ。


