「でも、私には無理です・・・」
「どうして？
そんなに弱気になるのよ」
「だって私・・・
彼氏、いるんです・・・」
「は？彼氏いるの？
じゃあ、水門くんは立派な浮気相手じゃない」
「違います、そういうのじゃありません。
私が付き合っている男の子は、勇都くんと言います。
勇都くんは水門くんをいじめるグループのリーダーたちと親しくて。
私が勇都くんと付き合えば、水門くんをいじめないと言ってくれると。
だから私は付き合っています。
勇都くんの彼女です。
でも勇都くんは私との関係を良いと言っています。
例え私が勇都くんを好きにならなくても。
テキトーな関係が良いって言っています。
私、そんなことは寂しいと思うんです。
付き合うのなら、彼氏も彼女も好きだと言いあう関係が良いと思うんです。
なのに、テキトーなうわべだけの関係が良いと言う勇都くんが気になっていて・・・」
だから、嫌だと言えない。
水門くんを守りたいのもある。
でも、勇都くんがそう言う理由が気になるのも事実。
「どうしたら良いんですか？
私は、誰が好きなんですか？
友達の好きではなく、恋愛の好きは、誰に与えれば良いんですか？」
私は背が高い灯さんを見上げる。
灯さんは私を見て、ふっと微笑んだ。
相変わらず、綺麗な人である。
