「あぁ、言っておく。
日時を言えば伝えておく」



『お姉様の空いている時間で良いわ。
久しぶりに話したいもの。
あなたの仕事ぶりも話さないとね』


「俺の仕事ぶりは関係ねぇだろ。
ともかく、調べておいてくれ」



『わかったわ。
大切な親友の弟の頼みですもの。
出来る限りのことは調べておくわ。
その代わり、ちゃんと仕事をしておくのよ。

勇都、あなたがユキを超すかもしれないほどの人気急上昇中のケータイ小説家・勇子の正体ということを忘れないでね』



「わかっているよ」




 俺はスマホを再びポケットに仕舞う。


 今の会話でわかったと思うが。





 俺はケータイ小説家だ。


 男性向けケータイ小説サイトでナンバーワンの人気を誇り、


 ユキを超すかもしれないと一部の人間に噂されている


 ケータイ小説家・勇子の正体だ。




 今の電話の相手は、姉貴の親友。


 親友って言うか、幼馴染。


 俺とも昔はよく遊んだ、幼馴染。


 姉貴の運営しているサロンの大ファンで、姉貴の空いている時間を見つけてはサロンを予約し、楽しそうに夜遅くまで話し込んでいる。