初めてだ・・・そんなこと言われたのは。



「水門くん・・・凄く優しいのに、その子たちわかってくれないんだね・・・。
水門くんは、顔だけの人間じゃないよ・・・。
凄く、優しくて、可愛い、素敵な人だよ・・・!
私は、わかっていたいから・・・」



 日下さん・・・。



「ごめんね・・・いきなり。
私、もう帰るね!

じゃあね水門くん!また明日!!」



「あ、日下さん!!」



 眼鏡を押し付けると、日下さんは駅の方へ走って行った。



 ・・・日下さん・・・・。



 優しい人ですね・・・あなたは。



 日下さんも、優しくて可愛い、素敵な人ですよ。



 僕よりも。







 僕も、帰るか。






 良い思い出のない、



 あの家へ。