顔・・・?
僕はその日から、クラスで目立たない存在になろうと努力した。
ダテの眼鏡をかけて、前髪を下して。
そうしたら誰も寄ってこなくなった。
男も、女も。
「そのまま僕は父が理事長で校長を務めている高校に進学しました。
格好はそのままです。
僕は、今の格好が気に入っています」
本音を呟く。
暗くなってきた夜空を見上げ、時計を見る。
「5時ですね。
もう帰りますか・・・って、日下さん!?」
ふと見ると、彼女は俯いて泣いていた。
誰にもばれないよう静かに。
「どうしたんですか!?」
「だって・・・水門くん・・・可哀想で・・・」
僕が?
可哀想?


