2人のユウト




「水門くん!逃げて!」



 私は大丈夫だから!


 大丈夫じゃないけど!




「彼女の言う通り、逃げた方が良いんじゃない?
逃げた方が自分のためだぜ~?」



「・・・ハァ」



 え?溜息?


 いきなりの出来事に、チャラ男たちも驚いている。



「何だ兄ちゃん・・・余裕そうだな・・・」



「・・・余裕じゃないですよ」



 え?余裕じゃないの?



「僕、喧嘩出来ませんし、争い事は苦手ですし。
今、どうしようって、凄い焦ってますよ」



 おいおい・・・。


 めっちゃヘタレ発言じゃない。



「でもね」



 ひょいっと顔を上げた水門くん。


 長い前髪で、顔は相変わらず見えない。