ある日の朝、僕は黒猫を見た。

その黒猫は優雅に人目を気にすることもなく歩いていた。

黒猫にはいろいろな迷信がある。

しかし、それが本当かどうかもわからずに今まで生活してきた。

その日は黒猫を見たから不吉なことが起こるのだろうとしか思わなかった。

黒猫が横切ると不吉なことが起こる。

これも迷信に過ぎないのに僕はそれを信じきっていた。

黒猫を見た日は特に変わったこともないいつもの日常。

学校へ行き、授業を受け、ご飯を食べ、また授業を受け、そして帰る。

まったく変わりのない日常。

次の日、起きると、目の前に先日見た黒猫が２本足でたっていた。

ハットを被り、タキシード姿で杖をついている。

どこかでみたかのような……。

僕はそれを声に出した。

｢……猫の恩〇し｣

すると黒猫は怒ったように怒鳴ってきた。

｢失礼な！猫〇恩返しは茶虎の猫だろう！吾輩は黒猫だぞよ！｣

僕は衝動でベットから飛び起きた。

びっくりしたのは２本足でたっていたことでも服を着ていたことでもない。

｢お、お、お前！喋れるのか！！！｣

｢うむ、ありがたく思えよ人間。吾輩は認めた人間にしか話しかけぬのだ｣

と言いながら黒猫は僕に歩いて近づいてきた。