「何よ…何よ何よっ!そんなこと並木さんに言われたくない!私達の気持ちなんて何も知らないくせに!」


身体の奥底から沸々と沸き起こる怒りに、身体も声も震える。

嫌い、大っ嫌い!
並木さんなんて全然優しくなんかない!

口が悪くて、無神経で、最低な男よ。



「お前みたいな弱虫の気持ちも、情けないあの野郎の気持ちも、そんなもん一ミリもわかりたくないね」

「もういいですっ!あなたに話した私が馬鹿でした!」

「あのなぁ、少し冷静になって現実を見ろ。カァッとなってたら見えるもんも見えねぇだろ?」


ため息混じりに言う並木さんに、ズキッと胸が痛む。


「本当はわかってんだろ?どうすべきなのか」

「っっ」

「もう終わりにしてやれよ…自分をもっと大切にしろ」


並木さんの言ってることは、頭ではわかってるつもり。
今の私は頭に血が上ってて、意固地になってる。


「誰のせいでこんな……」

「はぁ…俺のせいか?」

「っっ」

「勝手にしろ」


並木さんは吐き捨てるように言い放つと、私を一切見ずに階段を降りて行った。

その横顔が冷たくて、心が痛くなった。