図星だった。

悲劇のヒロインに仕立て上げたつもりはない。

だけど、私より彼女の美緒さんの方が辛いはず。
だって自分の知らないところで、信じてる彼氏に裏切られてるんだから。


それに、先輩に彼女がいるのを知ってて、関係を持ってるのは私。

こうなることも覚悟の上なはず。
なのに、私が辛いって泣くなんて、お門違いもいいところだ。


「お前、それで幸せなの?」

「っっ」


即答出来ない自分が情けない。

だって、私は先輩と幸せになりたいからこの道を選んだ。
決して不幸になりたかったわけじゃない。

誰かを、傷付けたかったわけじゃないんだ。


「もう少し現実を見ろよ。お前はあの男に遊ばれてるだけだ」

「っ、そんなことないっ!」

「どうして言い切れる?本当にお前のことが好きなら、関係を持つ前に彼女と別れるはずだ。まだ別れないってことは女関係にだらし無い男か、どっちかに決められない情けない男か、どっちかってことだ」