でも、先輩の温もりを知った今、もう二番目なんて耐えられなくて。

これ以上、今までの関係を続ける自信がなかった。



「はぁ…」


何度目かの深いため息を吐いた時、ちょうど地元の駅に着いて電車を降りた。
定期を取ろうと鞄を開く。

すると、携帯が光っていることに気付き何気なく画面を開くと、


「先輩…」


待ち受け画面には、先輩からの着信の報せが表示されていた。

着信時刻は10分前。


どうしよう…掛け直すべきかな。
でも、今は先輩と何を話したらいいのかわからない。

決定的なことを言われるのも怖いし、何より私も冷静ではいられないと思う。

ごめんなさい、先輩。


私はそのまま携帯を鞄の奥底に戻した。

重くなった心を引きずったまま、定期片手に改札を抜けた、その時。


「恵里奈っ!」


喧騒の中から、私を呼ぶ声が聞こえた。