気のせいだろうか。
並木さんの表情がいつもより楽しそうというか、嬉しそうに見える。

まるで夢を追い掛ける希望に満ちた少年のような、そんな笑顔で。

胸がドキッと跳ね上がった。


こんな顔もするんだ…
ちょっと意外、かも。

本当にケーキやお菓子作りが好きなんだって伝わってくる。


「それにしても、まさかパンケーキを芸術品だなんて言う馬鹿がいるとはな」

「なっ‼︎馬鹿って!並木さんこそ失礼じゃないですか‼︎」


ひどい!ひど過ぎる‼︎
ぷくっと頬を膨らませて並木さんを睨むも、並木さんは「屁でもないわ」と鼻で笑った。



「ほら、食えよ」


何となくこのまま食べるのが悔しい。
だけど、胃袋は正直で、

ぐうぅぅ〜…

タイミング悪くなったお腹を手で抑える。


うゔ…今の絶対聞かれたよね?

ちらっと並木さんを見ると、案の定、くくくと肩を揺らして笑っていた。


カァッと一気に顔が熱くなる。

やっぱり聞こえてる!
最低最悪!なんでこんな時に鳴っちゃうのよ。