なんだ、並木さんって優しいんじゃん。

その優しさが不器用過ぎて、不器用な並木さんが何だか可愛くて、心がほんわか温かくなる。


「ふふふ」

「…何だよ」

「いえ。案外、並木さんって優しいんだなってわかったら嬉しくてつい」


粗暴な言葉遣いだし、ほぼ初対面の私をアホ呼ばわりするし、プライベートはホント愛想ないし。

むかつくって何回も思うけど、でも。

優しい一面もある。
こうやって気遣ってくれる。

それが伝わりにくいのが難点だけど。
並木さんは、本当は良い人なのかもしれない。


そういえば、学校で見た橘君と並木さん、仲が良かったな。
慕われてたっていうか…

無愛想で一見怖そうだけど、すぐにクラスの皆とも打ち解けていたし。

私もあの時間は楽しかった。



私が優しいなんて言うもんだから、思いっきり怪訝な顔でギロリと睨み付けてくる並木さん。

だけど、優しさに触れた今、睨まれてもそこまで怖くないから不思議。


さっきは一生分の涙を流したんじゃないかってぐらい泣いたのにな。
こうして笑えるのは並木さんのお陰だと思う。